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2008年12月23日
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テントの中にザックをデポしウェストポーチに必要なものを入れてスタート。穂高岳山荘の建つ白出のコルを目指す。ザックを背負っている軍団の中では完全に軽装に見えるけどとりあえず必要なものは持っている。無駄に重い荷物を持つ必要はないと思っている。ライトアンドファストだ。
DSCF8914.JPG15分ほど登り後ろを振り返る。涸沢のテント村がずいぶんと小さくなっている。スタートが遅くなった分を取り戻すべく登っていくも前が詰まって進めない。我慢できなくなった人が列を外れて脇を登って行こうとするけど一人ラッセルでこの行列を抜くのはなかなか体力を消耗する。結局は渋滞の先頭にたどり着く前に再び行列に戻っている。


DSCF8919.JPG僕は無駄な体力を使いたくないので我慢して列についていく。そして休憩で止まる団体のわきを休まず進み少しずつ前へと上がっていく。それでも前は詰まる。





DSCF8921.JPGそしてふと後ろを振り返る。「どわぁぁぁ~」。予想以上の高度感。涸沢のテントがミジンコのように見える。しかし恐ろしいほどのこの傾斜。なんかす~っと引っ張られそうになるこの感覚。ここで滑ったらただではすまん。その後もどんどん傾斜はきつくなる。久々にピッケルが大活躍する。雪はどんどん締まってきて先行者のアイゼンの跡がくっきり見えてくる。2,4,6,8、・・・みなさん12本爪ばかりだ。僕の前を行く人たちの爪を数えても12本。しかし僕のは10本。大丈夫か、これ??正直、この時期のこのエリアの山行を甘く見ていた。つーか、そこまで考えが及ばなかった。燕岳なら十分な装備でもここでは少々不安になる。再び後ろを振り返る。「うわぁ~」 めまいがするほどの高度感。しかもこの斜度。これを下ればならんのかと思うと大いにビビる。この気持ち、剣岳を登った時の感じと同じだ。登りながら下りのことを考えて気が重くなる。頂上に着いても下りのことが心配で心配でしょうがない。ぶっちゃけこれまで登った雪山の中では断トツにハイレベルだ。これまでここの斜面で滑落したやつとかおらんのかな。つーかそんなレベルのやつらはここにはやって来ないのか??
上に行くほどどんどん斜度が増してくる。時折強風が吹き耐風姿勢で耐え忍ぶ。余計なことは考えないようにしてるけどこの急斜度。登りは何とか登れても下れるんですか、ここ?ネットとかでは下りはシリセードとか言ってるけどこんなとこシリセードで下るのか??無理無理。こんな壁みたいな傾斜、滑ったが最後よう止まれんわい。ビビりビビり登るうちにコルの稜線まで上がった。山荘に到着したのは9時半。ほぼ空身なのでもっと早く登れるかと思ったけど渋滞もあって普通のルートタイム通りの時間がかかった。
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朝5時。周りのテントから話し声が聞こえ始める。テントの外の様子をうかがう。ペグが抜け完全になくなってしまった前室のファスナーを開く。「うおっ!!」   なんとなくわかってはいたけどしっかりと雪が積もっている。その向こうに見えたのは水場の方向から歩いてくる人々の姿。風も強いし天気も悪いしみんなテントの中で待機してるのかと思ったら甘かった。みんなすでに始動している。僕的にはこりゃ登るどころじゃないななんて思ってたけどこの光景を目にしてスイッチが切り替わった。「よし、行くぞ!!」
周りを見るとみんなしっかり設営しているので僕のテントみたいに風で大きく変形しているテントはない。改めてペグで固定することと周囲を雪のブロックで囲うことの大事さを思い知った。
強風にゆがむテントの中でカレーを温める。今日もカレーだ。テントの中でバーナーを使うなといわれても状況によっては使わねばならん。まぁ、なんかあった時にメーカー側としては責任をとれと言われても困るからこういうことをアナウンスしてるんだろう。何事も自己責任ですな、山の上では。
DSCF8913.JPGテント内の荷物をまとめて6時半、約16時間ぶりにテントの外に出る。北穂方面はすでに続々と登り始めている。奥穂方面よりもその人数は多い。テントのペグを打ち直しテントを立て直す。トイレの行列に並び朝の生理現象を解消して登る準備はOKだ。すでに多くの人々が奥穂方面へと向かっている。その数は北穂方面よりも多い。そして7時半、涸沢岳に向け登攀を開始した。
夕飯にカレーを食べてとっとと寝る。昨日も一昨日もカレーを食った。キレンジャーといい勝負だぜ。
そして夜。事件は起こった。降っていた雨は雪へと変わり風がビュービュー吹き始めた。平たく言うと吹雪はじめたのである。北アではこの時期でも吹雪になるとは聞いてたけどこりゃ想像以上だ。フライには雪が・・・つーか氷が張りついたようになるので内側から叩き割る。そういうのを何度か繰り返すうちにさらに風が強くなってきた。気づくと寝てる横のテントの側面が目の前まで迫ってきている。「なにこれ?」と側面を押してみると「げっ!!」 薄い布の向こうには雪の感触が。テントを設営するときに適当にペグを打ったものだからどうやらフライのペグが抜けている模様。そこへ横殴りの雪がどんどん積もってテントの側面を押しているようだ。(うまく文字で説明できん)
そこからどんどん状況は悪くなる。どうやらテントを固定するペグもすべて抜けたようでテントが強風に翻弄される。ポールが折れるんではなかろうかというくらいテントがたわみテントの側面が僕の顔に覆いかぶさってくる。テントの前面の開くと前室のペグも抜け完全に前室が無くなっていた。ペグを打ち直そうにもこの状況では外に出られない。テントの片側は強風にあおられて浮き上がってくる。天気予報では0時から晴れマークになっていたからあと数時間耐えればこの吹雪も収まるだろうと思っていたけど、0時を超えてもこの吹雪は収まるどころかますます激しくなるばかり。風と雪に押されてテント内の居住空間がどんどん狭くなってくる。「いや~ペグをしっかり打たないとこうなっちゃうんだなぁ~」と身をもって体験できた。そして「みんなテントの周りに雪のブロック積んでたけどこういうことだったのねー!!」と体でもって理解した。その一方でシュラフの中はぬくぬくで非常に安心感に包まれていた。テントシューズを履きダウンジャケットの上から雨具を装着。テントはぐわんぐわん揺れてるけどひとまず凍え死ぬことはない。フライのペグが外れているのでテント本体もじわじわと湿っぽくなってきたけどシュラフはシュラフカバーで守られているので濡れることはない。しかしこの荒天。「こりゃ涸沢岳に登るとか言ってる場合じゃないぞ」
この天候ではテントを撤収することさえ困難だろう。テントの外に出た瞬間にテントごと風に飛ばされそうだ。どんどん思考がネガティブになる。
しかしこの吹雪の中、なんとか耐え忍んで無事に朝を迎えることができた。
雨降りなのでテントに戻る。時刻は14時過ぎ。しかし寝ようと思えば今からでも寝れる。テントの中でごろごろしているとテントを打つ雨音が時折乾いた音になる。あられかみぞれかはたまた雪か。気にはなるけどフライを裏返しにつけているのでベンチレーターから外が見えない。
時間はゆっくりと流れる。退屈といえば退屈だ。そこで今回初導入の秘密兵器の実験をすることにした。その秘密兵器とは「携帯用トイレ」。
テン泊してると結構めんどくさいのがトイレ。夜起きてトイレ行くのも面倒だし外が雨ならなおさら億劫になる。これまでの経験から今回は携帯トイレを導入することにした。正直今はまだ明るいし傘をさしていけばたいして濡れることもないとは思うけどせっかく持ってきたんだし使ってみたい。ということで使ってみた。テント内で大惨事を起こすことは絶対に避けなくてはならない。慎重にセッティング(?)してからいざ発射。ジョーっと袋の中に用を足す。100均で買った代物だけに信頼性には疑問があったけどなるほど、ブツがゼリー状に固まっていく。瞬間的に固まっていくのではなくじわりじわりと固まっていく。しかしこの携帯トイレ、この雪山の冷え切ったテントの中では妙な気分になってくる。中身がお小水とはわかっていても程よくひと肌的な温度でいい感じに温かい。まるでカイロのようだ。これがお小水の入った携帯トイレでなければ思わず懐に入れてしまいそうなのだがそこは「いかんいかん」と踏みとどまる。
あんまり多用すると持ってきたものを使い切ってしまうとまずいので2回目は結構我慢してから使ってみた。しかし1回目より量が多くしっかりと固まらない。口をチャックで閉めるのでこぼれる心配はないとは思うけど多少の不安は残る。
この携帯トイレ、便利といえば便利である。しかし実際使ってみてわかったことがある。おしっこって結構重いのである。なんつーかその、1つくらいならまだしも2個3個と使用するとずっしりとした重さになる。使用済みのものをトイレに捨てるわけにもいかんので下界まで担ぎ下ろさねばならない。感覚的にはウィダーインゼリーを自分で作り出してそれを背負うといった感覚。日が経つにつれ行動食で持ってきたウィダーインゼリーが無くなってきて背中が軽くなるはずなのに自分自身が生み出したウィダーインゼリーでその軽さが相殺される感じだ。というわけでこの携帯トイレを使うのはどうしてもって時に限る。むやみに使うと文字通りお荷物を増やすことになってしまうことを学んだ。
5月4日。起床は5時。雨は止んでるけど地面はぐっしょり濡れている。ただでさえ撤収に時間がかかるのに地面が濡れてたりするとさらに時間がかかる。
とりあえずは朝飯。マルタイの棒ラーメンを一気に2食分食べる。その後トイレだコンタクトだ歯磨きだと身の回りの準備を済ませ撤収にとりかかる。テントのポールを抜くと「な、なにぃ~!!!」
なんとポールが大きくひん曲がってるではないか。これは昨日テントに突っ込んできたおばはんの仕業に違いない。「あのばばぁぁぁぁぁ~!!!!!!」
ライペンのカタログには「ポールは曲がるものです。無理にまっすぐに治すのは破損の原因になります」的説明が書いてあったのは覚えていたけどこれは曲がりすぎだろ。やってはいかんと思いながらもなんとかまっすぐにしてやろうとひん曲がったポールと格闘する。しかし曲がったポールは元に戻らない。時間だけが過ぎ去っていき時刻は7時をまわった。「ダメだ。あきらめよう・・・」
DSCF8830.JPG
横尾をスタートしたのは7時20分。横尾大橋を渡ってしばらく行くと雪が現れた。しかしアイゼンを付けるほどではない。ガスにかすむ屏風岩を眺めながら歩くこと1時間。本谷橋へ到着。ここでアイゼン装着。あと2時間ほどで涸沢のヒュッテに到着するはず。
一息ついて再び歩きはじめる。すると間もなく雨が降ってきた。しばらくは雨具を着ずに踏ん張っていたけど雨足は強くなる一方。とうとう観念して雨具&ザックカバーを装着した。つーか自宅で確認した天気予報だと今日の天気は曇りで降水確率は30%だった。う~む、やっぱ山と街では天気予報も違うのか。
DSCF8848.JPGさらに先を進むと景色が開けてくる。ずっと先までまるでありんこの行列のように登山者の列が連なっている。いい景色だ。




DSCF8857.JPGやがて前方に涸沢ヒュッテのこいのぼりが見えてきた。他の人のブログなんか見ているとこのこいのぼりが見えてからが長いという意見が多い。ただそういう人は上高地から一気に涸沢まで上がってきた人だろう。横尾スタートの僕なんかは特に苦しむこともなくヒュッテに到着した。DSCF8888.JPG時刻は10時半。予定通りだ。この時間でもすでにテン場にはテント村が出現している。
予定では30分でテントを設営し身支度を整えて涸沢岳に登るつもりであった。しかしこの天気。一瞬晴れ間がのぞくこともあるけど雨は降ってるし風もある。天候が安定しない。ただ登るのならばぎりぎりの時刻だ。遅くとも15時には涸沢まで降りてこなければならない。
迷った末に登るのはあきらめた。山頂はガスって見えない。さらに登っていく人よりも降りてくる人たちの方が圧倒的に多い。雨もふり風もある。ここはやめとくのが妥当だろう。アタックは明日かけよう。
風雨の中テントを設営する。荷物を濡らしたくないので焦って設営するとフライシートを裏表逆にしてしまった。しかし雨が降っているのでこのままで良しとする。ベンチレーターがつながっていないのでなんだか間が抜けてるけどもうこれでいい。ペグも適当に踏んづけて雪の中に埋めておいた。しかしこのいい加減な設営があとでとんでもないことを引き起こすのだが・・・。
適当に設営したテントの中に急いで逃げ込む。今回が初の雪山での幕営だ。冷てぇな~。テントの下にグランドシートを敷いてはいるものの薄い布きれ2枚を隔てた下からは雪の冷気が容赦なく伝わってくる。防水のためテント内にもグランドシートをひく。それでも冷気は全く防げない。まぁその辺は想定内でその上からアルミのテントマットをひくと冷気を劇的に遮断できた。すごいぞ、アルミのテントマット!!その上からエアマットを敷きシュラフカバーを被せたシュラフをセットする。いやー我ながら完璧だ。フライシートのベンチレーターが反対側についてるけどとりあえず涸沢テント村の一員になったぜ。
DSCF8899.JPG寝床の準備ができたのでテン場の受付がてら外に出る。涸沢に来たらあれを嗜むしかないでしょ。そう、生ビールとおでんだ。穂高連峰を眺めながらビールとおでん、今回はこれをやりにここまで来たといっても過言ではない。
生ビールとおでん6品、占めて1400円也のセットを注文。屋根つきの席は満席なので屋根なしの席に座る。雨の降りしきる中、雨具を着ておでんでビールをぐびっと飲む。山を知らない下界の人から見たら「この人は何をやってるんだ??」と思われそうだけどここは聖地涸沢。これをやりに集まってきた登山野郎がみんな同じ格好でおでんをあてに昼間っから飲んでいる。雨粒が容赦なくおでんやジョッキの中に入ってくるけど細かいことは気にしない。周りの山々がガスって上の方は見えないけどそれでもいいのだ。涸沢でおでんをあてにビールを飲む。この行為こそが生きてることの証だ。(←意味不明)
とか言いつつもこの天候なので早々に切り上げてヒュッテに天気予報を見に行ったく。ヒュッテのテレビでは24時間やってる天気予報の番組(CS)がやっていた。そこで目にしたのは本日の天気は朝から深夜の0時まで雨ですという予報。二日前の夕方の天気予報とは全然違うではないか。ただ明日は晴れるらしい。とりあえず今日の夜中の0時まで我慢すればいいんだな。そして水場で水を調達してテントに戻った。
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プロフィール
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としぷー
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男性
誕生日:
1977/09/23
職業:
さらりーまん
趣味:
登山 自転車 旅 鉄道
自己紹介:
登山、ロードバイク、一人旅が趣味の37歳。メタボの泥沼からなかなか脱出できないがそれは自分の意志の弱さだとようやく気がついた。最近は「食べるな動け!!」をモットーに脱メタボを目指す。
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