忍者ブログ
2008年12月23日
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  

ぐしょぐしょに濡れた服を着替えて新穂高のロープウェイ乗り場で高山行きのバスを待つ。濡れた衣類を入れたザックの重みがずっしりと肩にかかる。ふつうは下山後のザックは初日よりも軽くなるものだが今回は下山後のほうが重い・・・。レインウェアとブーツは終わっているけどまだ新しいザックカバーは非常に優秀である。どうしようもない部分(肩紐の部分や背中など)以外は全く濡れていない。鉄壁の守備である。いいぞ!モンベルのザックカバー。それに加えてどうしても濡らしたくないものは防水バックに入れている。これで濡れた衣類のまきぞえを食って濡れてしまうこともない。今回の防水対策、成功である。

高山行のバスに乗り込む。

 大混雑は嫌だと思っていたけど混雑とはほど遠い。がらがらの車内でリクライニングをフルに倒し、のびのびとリラックス。高山までの1時間半の旅を楽しもう。ここからは観光である。高山でうまいラーメンを食おう。

11時55分。高山に向け出発。さらば北アルプス!!!

しかしまぁ大雨である。ロープウェイ乗り場でお土産とかを買っていたんだが観光客以外に当然山の格好をした人たちも降りてくる。その人たちとも話をしたんだが、西穂に登ろうとして西穂山荘に泊まったんだけど、この大雨であきらめてそのまま降りてきたとのこと。さぞかし無念かと思いきや思いのほかあっさりしてた。僕なんかとは器の大きさが違うよな。

大雨の中、バスは平湯に到着。たくさん人が乗ってくるのかなと思いきや全然そんなことはなく、乗ってくるよりもここで降りた人のほうが多かった。

そしてバスは乗鞍のベース基地、、ほおのき平に到着。乗鞍帰りの登山者が大挙して乗り込んでくるかと思いきや乗ってくる人は皆無。さらにこの天候でほおのき平行のバスも止まっているらしい。

がらがらの車内でのびのびと過ごす。いいねぇ、電車でもバスでもこういうがらがらなのが好きだ。

そして13時31分。終点の高山に到着した。ここで一つの結論を出す。大阪までJRで帰るかバスで帰るかである。バスの方が金額的に安い。JRなら各駅停車でも帰れるがデカくて重いザックを背負って乗り継ぎ乗り継ぎで帰るのは面倒だ。JRならば特急である。ただし料金は高い・・・。
そして結論を出す。ここはひとつ大人らしくワイドビューひだで帰ろう。

 大阪駅で指定券も買ってるし。というわけでみどりの窓口で乗車券を購入した。
その後はコインロッカーにザックをぶち込み高山観光である。まぁ高山には何度も来ている。ただし通過ばかりでまともに観光したことはほとんどない。
まずは腹ごしらえ。ラーメンである。行列ができている鍛冶橋は去年行ったので違うところを探す。しか~し、なんとこの時間で早くも店じまいが始まっているのである。ただ今14時過ぎ。観光地なのに早すぎやしませんか??入ろうとしたお店もすでに終わっていた。これはマズい。とにかく開いてる所にかけ込まなくては!!!
ここもすでに終わっていた。
 
  そして滑り込んだのが「甚五郎ラーメン」さんである。腹ペコなのですぐさま甚五郎チャーシューメンとご飯を注文する。しかし・・・なんとご飯がすでに売り切れであった。マジかいな???うお~白いご飯食いてぇ―!!!
しかしないものはないので我慢するよりほかにない。



 ほどなくして出てきたチャーシューメン。待ってましたとばかりにもさぼり食う。でもってあっという間に完食!!!あーうまかった。4日間山にこもった後に食うラーメンはいつもの10倍うまかった。






その後「高山と言えばここ」ともいうべき古い町並みを歩く。










さすが小京都。いい雰囲気である。関西の人間的には近所に本物があるけど、高山のこの感じ、いい ですな。







もういっちょ






 しかし高山の観光エリア全体に言えるんだけどやたらと宝石屋が多い気がする。こんなとこで観光客が買うんかいな??それとも飛騨の人達には宝石好きが多いのか??ちょっと気になった。

その後栄えてる方栄えてる方へと歩いていく。







すると高山市政資料館というところに行き着いた。好きなんだよね~。こういう歴史がわかるところ。順路に従い端から端まで見学した








2階はこんな感じ







 

2階からの景色







資料館を後にする。すると赤い橋が目に入る。おぉ、これ知ってるぞ!!







 
正面から見ると微妙だけど横からだとよく見る風景だ。






その後ぷらぷら歩いているとなんか人混みになってるエリアを発見。近づいてみると寺みたいな大きな屋敷みたいな建物に人が集まってる。見てみれば「陣屋朝市」と書いてある。「朝市」は知ってるけどこんなとこでやってんのか?つーかこの「陣屋」ってのは何?有名なのか?高山についてなんにも調べてきてないのでわからんがとにかくメジャーな観光資源であるようだ。






中に入ろうとすると有料であった。金かかんのか…よし、やめだ。







外から覗き込む。






駅に向かって。歩く。先程昼飯を食ったばかりだが晩飯のことを考える。駅弁にビール…といきたいところだがそろそろ懐具合が危なくなってきた。手頃なところで手を打とう。なにか脂っこいもん食べたいな~と思ってたら頭にズキュンと閃いた。「天丼食いてぇ」

てなわけで駅に戻りがてらスーパー的なものを探す。しかし都合よくそんなものは見つからなかった。寿司や惣菜的な物を売る店に入るも天丼はなかった。じゃあなにか他のものと思ってもどれもこれも値段が高い。何も買わずに店を出る。
  すると今度は奇跡的にも天ぷらのお店(テイクアウト可)が現れた。バッチリ天丼もある。「おぉ~これは山の神様からのプレゼントじゃー!!

しかし…無情にもテイクアウトできる時間は既に過ぎていた。



こうなりゃ最後の手段、コンビニに期待する。時間も差し迫ったころ、駅前のファミマに駆け込んだ。しかし…天丼の姿はなし。「む、無念…」

適当にその辺の弁当をかごの中に放り込み会計を済ませ駅へと走る。列車が停車してたのには焦ったが高山での停車時間が長いだけであった。

車内に入ると中はガラガラ。これなら指定席じゃなくてもよかったかと思うもこれは結果論である。世間は夏休みと言えどサラリーマン的には普通の月曜日である。この様子なら自由席なら横に人が来るかもしれんが指定席なら大阪まで二人掛けの席を独占できそうだ。





  
昔の急行たかやまの後を引き継ぐワイドビューひだ。







 
前方は大阪行き。 






   

後方は通常通りの名古屋行き。
 







 

天丼を食いたかったが結局何の変哲もない弁当になってしまった。 







列車は大阪に向け出発。車内では飯を食ったり新聞を読んだり写真を見たり地図を見たりしてるうちにあっという間に大阪に到着。京都辺りから人で込み合うホームを見るにつけ「あら大変ねぇ~」などとガラガラの車内でくつろぎながら余裕をかましていた。
大阪駅到着。ホームに降り立ちまず思う。
「・・・。 
あちーな・・・。」

山小屋でダウンジャケットを着てたことや下山直後にびしょ濡れで肌寒かったのを思うと笑けてくる。

しかしまぁ帰ってきちゃたな。明日からまた会社である。天気は悪かったけど今回も楽しかった。

「来年も休みとれるかなぁ」そんなことを考えながら新三田行きの列車に乗り込んだ。


終わり

PR

7月29日。最終日の朝である。4時過ぎに起床。昨夜から今朝まで12時間くらい横になっていたせいか吐き気、頭痛、悪寒は治まっていた。天気は雨。昨夜は寝てるときヤバいくらいの雨音がしていた。今も収まっては強く降るというのを繰り返している。まぁ最終日だしどうなってもいいや。荷物をまとめて下に降りる。

水切り場に干している雨具をとりに行くとすかすかだった昨日の昼とは考えられないくらいの大量の雨具が引っかけられている。自分のを手に取るとまだしっかりと潤っている。よし!予定通りだ()

また今日もインスタント麺と蟹の味噌汁である。ちなみにカップヌードルのシーフードだ。

朝食を終えいざ出陣。こんな雨の日でも小屋のスタッフは傘を指して見送りをしてくれる。つーかこの双六小屋、設備も素晴らしかったけど客の扱いというかサービスも一級品であった。言葉遣いもめちゃくちゃ丁寧だし。ついでにいうとヤカンのお茶が無料で頂ける。もう山小屋とは思えないほどのサービスぶりであった。
雨粒が写るほどの大雨である。そんな中でも傘を持ってお見送り。その気持ちがありがたいねぇ。 

富山大の診療所。そこにあるだけで心強い。

553分、雨の中を新穂高を目指し下山開始。小屋の外に新穂高温泉まで5時間40分と書いてある。コースタイム通りでも12時には下界に降りれるな。
テン場。
さらば!!双六小屋。お世話になりました。


晴れてりゃあっちこっち見たり写真とったりでなかなか先へ進めないだろうがガス+雨の天候なのでガシガシ進む。断続的に登山者と出会うのでこれまでになくちょっと楽しい。
雪も豊富に残っている。
ガスにかすむあのピークは弓折岳か??

648、弓折乗越に到着。視界ゼロ。去年とは天地の差である。
ちなみに去年はこんな感じ。

ザーザー降りなのでそのまま進む。去年はどかっ晴れで降りるのがもったいないくらいだったが今日はなんの迷いもなくひたすら高度を下げる。
ガス。
上の写真とほぼ同じ(もうちょっと進んだとこ)とこからの写真。
 川みたいになってきたな。

鏡平の小屋には7時20分に到着。そのままスルーする。

鏡池。今年。
去年。

ここから登山道が滝のようになる。
 
 
・・・。
 特に沢との合流点ともなるともう沢なのか道なのかわからん。

  そこから先は沢(川?)とも道ともわからんところを下っていく。

 激流ですな。

ここを渡れと・・・。

もはやこれは・・・。

いや~これは前回の吾妻山どころの騒ぎではない。山というよりも沢のエッセンスを色濃く含んでいる。ただし水深は浅いので流されるということはない。
激流エリアを越えると前方に左俣林道が見えてきた。
 
飛ばしに飛ばして林道には914分に到着。ここにこの時間ならゆっくり歩いても余裕で着くな。

しかしこの大雨で頭の先からつま先までびしょ濡れである。まぁ雨具も靴ももう終わってる。この山行から帰ったら買いなおさねばならん。金がかかるなぁ(泣)
わさび平小屋。雨粒でけーな。

笠との分岐。写真は降りてきた人。

ゲートには10時27分に到着。

去年入浴した。ニューホタカ。今回の山行は傘無しである。←バカ
風呂に入っても2秒でびしょ濡れになるので風呂に入れず・・・。折り畳み傘は必携である。

その後、少々ペースを落としながらも新穂高のロープウェイには1035分に到着。所要時間約4時間40分。コースタイムのざっくり8掛け。体調よく下山することができた。いや~着いたなぁ。3泊4日・・・その昔行った中房ー燕ー常念ー蝶ー上高地以来だなぁ。とうとう水晶をやったんだな・・・。感無量である。ほんとはもう1日休みを取って黒部五郎をやって折立に下れたら最高だったんだけどな。まぁ黒部五郎は来年だ。めでたしめでたし。

中道まで戻ってきた。ここからあとは双六小屋まで下るのみである。コースタイムは1時間。今のこの状況なら1時間半はかかるだろう。ガスの中の一人旅の途中、前を横切る小さな物陰を発見。
「おぉぉ~!!!」 
この山行初のライチョウちゃんであった。 ヘロヘロの気持ちが少し癒される。まぁこの天候。ライチョウだって安心して出てくるわな。
ここにもお花畑が。
さらに下ると右手から道が合流してきた。件の春道である。「ほぉ~。これがそうですか。」
意外にもと言っては失礼だがしっかりした登山道である。僕の持つ地図にも載っていないことから相当に怪しい道を想像していたけど全く持って普通の道である。ちなみに地図は山と高原地図の2006年版の槍ヶ岳・穂高岳である。
眼下に双六小屋が見えた。はぁ~、やっとだぜ。明日のルートを上から臨む。目前にせり上がる山にルートがついている。「・・・。明日あれに登るの???。」
このヘロヘロの状態で明日あれに登らねばならんとは考えただけで疲労度が一気に増す。ついでにいのムカムカも一気に増す。ここまでくればあとは新穂高まで一気に下るのみと思ってたのに・・・という不安は杞憂に終わった。小屋から一気にせり上がる頂は樅沢岳。槍ヶ岳へと続く裏銀座の続きである。裏銀座に別れを告げる僕が進むのは右手に細長く伸びる下り基調のルートである。明日にはもう下界に降りてしまうんだな・・・。
最後の下りを一気に下り13時53分、本日のお宿の双六小屋に到着。コースタイム5時間50分に対し要した時間は7時間40分あまり。別に昼寝とかしてたわけでもないのに基本的に余裕をみているコースタイムより2時間くらい遅い。ひどい一日だった。
小屋で受付を済ませ身の回りを整理する。びしょびしょに濡れたレインウェアは乾燥室がいっぱいのため水切り場という屋根の着いた屋外で干すことになる。小屋の人も「乾きませんけど」というその水切り場は「この天気でこりゃ無理だろな~」っと納得できるシチュエーションである。濡れた服を着替え、2階の自分の寝床へ向かう。ザックがデカいため廊下に置くように言われ、廊下に陣取り荷物の整理。
その後下に降りる。人が食べてる小屋の食事を見ていたら僕も食べたくなった。今回の山行の主食はインスタント麺である。軽量化・節約のためにも今日も残りのラーメンを食べるつもりであったけど我慢の限界であった。「米食いてぇ~。つーかまともなもんが食いてぇ~!!!」
そしてホットミルクと牛丼を注文した。外で食べたかったけど止んでいた雨が再び降り始めたので座談室として解放されている食堂に移動する。
先にやってきたのはホットミルク。はぁ~ホットミルクだけにホッとするわ~。
そして遅れてやってきたのが待ちに待った牛丼。お値段800円(だったかな??)也。やってきた牛丼に食らいつく。うめぇ~!!!超うめ~!!!!!相変わらず胃がムカムカして吐きそうなんだけどそれを上回るおいしさ!!!下界なら並盛2杯食べてもおつりがくるこの山の上価格ながら「今まで食った牛丼なのかで一番うまい!!!」と断言できるうまさである。人間、丸三日もラーメンが続くとこんなにも牛丼がうまく感じるのである。幸せだなぁ~。800円の高級牛丼が弱った胃袋にしみわたる。
とっても幸せな気持ちで牛丼とホットミルクを完食。うまかった~。
その後は小屋の中の探検。しかし思ったのがこの双六小屋、めちゃくちゃきれいである。なんか新築のような木のにおいがする。トイレもめちゃくちゃきれい。しかも数が多い。さらにびっくりしたのが水が使い放題なこと。沢が近いためか水が豊富である。それまでお金を出して水を買っていたので完全に別天地である。(とはいえ無駄遣いは禁物だが・・・)
昨日、一昨日と比べると「降りてきた~!!!」という意識が強いので山の上という感じがしない。なんか高原の高級ペンションに来たかのような錯覚すら覚える。それだけすんばらしい山小屋である。
入口の近くにあるテレビで明日の天気をチェック。う~む、雨である。明日も雨か。しかも結構強そうだ。まぁ明日は最終日。もうどうなってもいいわい。
そして自分の寝床に戻る。胃のムカムカもそうだけどなんか悪寒がする。軽く頭痛もする。なんか熱がありそうだ。というわけでまだ夕方ながらも寝床で横になった。

 63座目の百名山、鷲羽岳をあとにする。昨日から体調が悪いけど今のところだいたいコースタイム通りで歩いている。普通なら八掛け位で行けるんだけど今日のところはコースタイム通りに歩くのが目標である。 
山頂から少し下ると分岐が現れた。「一本道のはずなんだけどなぁ」と地図を広げると池へと下る分岐であった。
手前の赤いジャケットの人、ホーボージュンにそっくりで思わず声をかけそうになった。 
ガスの中をさらに進むと下からじゃんじゃん人が上がってきた。  
皆さん息も絶え絶えな感じである。登りの人的には胸突八丁って感じか?結構な急登である。
 
  さらに進むとガスの切れ間から三俣山荘が見えた。下からは大挙して登って来る人たちが見える。しかしこりゃきつい登りだろうなぁ。ワリモ岳側からの方が楽そうだ。
 切れたガスも一瞬で元通り。

下りてきた道を振り返る。いや~急だねこりゃ。
手前が硫黄岳で奥が大天井か??よくわからん。
アップ
手前にはたっぷりの雪
  急な下りをこなし10時23分、三俣山荘に到着。コースタイムよりも15分遅い。この辺りからまた胃がムカムカしてきた。体もしんどい。ただバテたというよりも体調不良である。
とりあえず小屋に入り三俣蓮華の登山バッチを買いトイレを済ます。そして小屋の前のベンチでルートの確認がてら休憩。水晶小屋からここまで4時間以上。遅いうえにたった4時間でこの疲労感。自分の情けなさは認めるけどやっぱ日頃の残業地獄の影響もあると思う。初日は勢いだけで登れたけどそれ以降は確実に疲れが出てきている。下界でもエスファイトゴールドと胃薬を飲みながらなんとか仕事をこなしてたって感じだったし。そんなことを考えると少々弱気になってくる。

とはいえ行かねばならん。進むべき三俣蓮華の方角には黒い雲が。こりゃ時間の問題だな。
あそこを登っていくのね
テン場を通り黒部五郎との分岐へ差し掛かる。
ここから残雪を踏んで三俣蓮華への登りが始まる。う~む、体が重い。そしてとうとう降ってきた。ここから先は断続的に降り続ける。
お花畑もあったりする
後ろからおじさんがついてくる。三俣山荘で休んでるときに隣に座ってたおじさんである。付かず離れずの距離感で僕が先行する。双六の巻き道ルートとの分岐に到着。下から上がってきた人がいたので話をする。事前情報で雪の量が多いと聞いていたので「やっぱ雪は多いですか?」と聞くとやはり「今年はいつもより多いね」ってことだった。時間的に「鏡平からですか?」と聞くとなんと「いや。新穂高の駐車場から。」と驚くべき回答が。さらに「鷲羽までトレーニングのつもりで来たんだけど時間がなくなってきちゃった。12時になったら引き返そうかな。」なんていうので「今日は双六小屋ですか?」と聞くと「いや。明日仕事があるから下まで降りる。」とか言うではないか。僕とのレベルの差に唖然としてしまった。大体この水晶とか鷲羽のエリアってこんな超人みたいな人が多すぎる。昨日の水晶岳日帰りのトレランの人もそうだけど笑えてくるくらいおかしい人がいっぱいだ。ちなみに鷲羽岳の日帰りを目論むこの人はトレランではなく純粋に登山の格好をしていた。
この超人と別れヘロヘロの僕はのろのろと三俣蓮華への最後の登りにさしかかる。雨は強くなるしガスも濃くなる。傾斜のきつさが身に染みる。胃のムカムカと気分の悪さがさらに歩みを遅くする。
行き倒れ寸前のところで三俣蓮華岳に到着。強い雨と強い風、おまけに濃いガスにさらされて何ともブルーな気分である。当然周りはなーんにも見えない。

時刻は10時55分。三俣小屋から三俣蓮華までのコースタイムは40分。実際にかかった時間は75分。ほぼ倍の時間がかかっている。山を始めて9年目、こんなに大崩れをしたのは初めてである。景色は全く見えないので登頂の証拠写真を撮り三角点をなでなでして先へと進む。

胃のムカムカがかなり激しい。今なら吐ける。今すぐにでも吐けるぞぉ~!!そんな体調ということもあり、双六方面へと進みつつもどうするかを考える。双六岳に登ったところでなーんにも見えないだろう。ただ「登りました」という事務的な事実しか残らない。正直もうバテバテでもある。百名山でもないし無理して登らなくてもいいのでは?なんて考えながら歩く。しか~し!!ここまで来て双六岳を取りこぼすとあとあと後悔するに決まってる。「あのとき行っときゃよかったな~。」って。そう思うと百名山だのなんだのなんていう打算的な考えを改めて予定通り双六岳にいくことにした。後ろからついて来てたおじさんとは抜きつ抜かれつ歩いていたんだがその間に色々話をした。このおじさん、今日は雲ノ平から来たらしい。で、僕が双六へ登ると言うと昨日登ってきたとのことで稜線ルートは残雪が多くて通行止めということと中道から稜線ルートに合流する春道というのがあるということを教えてくれた。稜線ルートの双六の山頂付近(山頂の南側)は広い尾根で霧の日は迷いやすいと地図に書いてある。なので僕は中道コースとの分岐から山頂を往復しようと思っているんだが、おじさんは春道コースで降りれば中道コースに合流できるのでそちらを勧めてくる。まぁそちらの方が合理的ではある。しかしどういうわけか僕の地図にその春道コースの記載がない。この体調に加えこの悪天候である。そんなときに地図にも載ってない人から聞いただけのルートに進むってのはどうだろう?う~む…なしだな。実際その春道というのが一番の近道かもしれん。ただこういう状況なら一番確かなルートをとる方が安心だ。多少時間がかかっても。やっぱり引き換えそう。
稜線コースと中道コースとの分岐に来るとおじさんはこの先の状況を詳しく説明してくれた。その気持ちは非常にありがたかったが気持ちだけ頂くことにした。だいたいどう言えば失礼に当たらないのかがわからん。親切で言ってくれてるのに「いや、計画を変えて地図にも載ってないルートをこの天候の中で選択するのは不安です」とはとても言えない。とりあえず「わかりました」とだけ言っておじさんと別れる。おじさんは「中道コースとの合流でまた会うかもね」と言っていた。ちょっと心が痛い。

ここからは完全に一人旅である。人気の山ではあるんだがひと気が全くない。ガスで真っ白のなかを一人進む。左手にはかなり大きな雪渓が残っているのが見える。
雪渓を振り返る。

この双六岳に登るにあたってずっと頭に残っていることがある。その昔、どの山だったか忘れたが、出会った人が「双六に登ってたら熊が目の前を横切った」と言っていたのである。その人は普段出会うことはあまりないけどそこら辺にもけっこう熊はいると言っていた。今まさにその双六岳に登っているのである。辺りは僕一人。少々不安である。双六への道は樹林帯ではなくわりと開けている。晴れていればアルプスの山々を眺めながらの気持ちのいい道なのだろうが今はただ雨が降り、ガスのわく気の滅入る道である。

そして岩場の登りが始まった。ここを登れば山頂である。
えっちらおっちら登ること数分、登りきったその場所が双六岳の山頂であった。時刻は12時28分。三俣蓮華を出発したのが11時。コースタイムは60分。う~む、コースタイムの1.5倍か・・・。
山頂は雨風共に強い。写真を撮るもレンズに雨が。拭いても取れんし・・・。
一応その先にも進んでみる。もし行けそうなら件の春道コースというのも少し気になる。しかし・・・・・・ダメだこりゃ。もう真っ白で何も見えん。しかもだだっ広いので「これは足を踏みいれてはいかん!!!」と即座に判断して来た道を引き返す。
結局中道との分岐までクマにも合わなかったけど一人の人間にもすれ違うことはなかった。

 


3日目。7月28日の朝である。周りはとっくに動き出しているが僕はのんびり構える。今日のコースタイムは5時間50分。半日コースである。
布団を片づけ出発の準備をしているときに隣の人と話をした。60前後って感じの人である。この人は前日に鷲羽を歩いてきたとのこと。
「鷲羽までのルートって危ないところありますか??」と聞いてみた。すると「私としては危ないと思うところはなかったですね」との返答が。そこでズバリ「ワリモ岳のところって危ないんですか??」と聞いてみる。すると「1か所だけロープが張ってある所があるけどほんとに一部分だけ。特に危険はない。」との事だった。昨日の小屋のお姉さんと同じような答えである。
下に降り朝食を食べてる時におばさんと話す。このおばさん、昨日は鏡平の小屋から上がってきたらしい。なかなかやりますな。
6時10分、みんながほぼ出発したところで遅ればせながら出発。ほとんどの人が野口五郎方面へ向かうので鷲羽方面は全くひと気がない。昨日の京都のおばちゃんも「裏銀座はこちらからよりも向こう側から来る人の方が多い」って言ってたな。

DSCF2244.JPGしかしまぁガスが濃い。前の山行もそうだった。今年はこんなのばっかりだ。
6時40分過ぎワリモ岳への分岐に到着。しかし腹の調子が悪い。朝飯の時に飲んだ正露丸が機能していない。登山道を離れキジ撃ちへと向かった。
すっきりして再び歩きはじめる。ガスガスガス!!!ひたすらガスである。7時過ぎ、本日初めて人とすれ違う。三俣山荘あたりからの人がもっと早く登ってくるのかと思ったけど結構遅かったな。


DSCF2245.JPG
お花畑。ガスに煙ってますが・・・。






その後おばちゃん4人パーティーとすれ違う。ワリモ岳を目前に控え最後にこの質問を浴びせる。「この先、危ないところあるんですよね??」
しかしおばちゃんたちは「ロープは張ってあるけどほんとにちょっとの間。そんなに危なくはない。」とのお答えが返ってきた。ここまで来て、じたばたしても仕方がないので腹を決めて進む。つーかここを避けて通ることもできるにはできる。黒部川の源流を通り三俣山荘へ迂回し、そこから鷲羽に登り返すコースである。しかしこのルートだと大回りもいいとところでコースタイムも1時間1時間45分も余計にかかる。さすがにこんなアホらしいことはできないので普通通りこのルートを選択した。
DSCF2248.JPGガスの中を登る。7時24分、ワリモ岳山頂の山名票に到着。実際のピークは少し上がったところにあるんだがその先が気になってそれどころではないのでスルー。そしてついに件の「危」マークのところにさしかかる。しかし「ほぉ~。」







DSCF2251.JPG皆さんが言うように別に危険というわけではない。正直ロープが無くても大丈夫なような気が・・・。それほど高度感があるわけでもなく念のためロープを張りましたという感じ。とか言いながらもせっかくなんでつかませていただきました、はい。



DSCF2252.JPG
反対側から。






つーかこれ「危」マークいらないんじゃないの??って感じである。ここが「危」マークなら前日の「足元注意」のところこそ「危」マークなんじゃない??って思った。でも、昨日の「足元注意」はあれが妥当かな。高度感はあったけど危険じゃなかったからな。ここを通過すると一気に気が楽になった。これから先はもう危なそうなところはない。普通に2本足で歩けることがわかっているルートである。相変わらず歩いてる人は少ないけど、ガスの中を鷲羽岳に向かい歩く。
DSCF2261.JPGそして8時7分、鷲羽岳に到着。63座目の百名山である。しかし山頂にはだーれもいない。蔵王、水晶に引き続き3連続でだーれもいない百名山である。さぁあとは双六小屋に向けて歩くだけだ。こんな早い時間帯にメインの山を登頂しちゃったもんだからなんだか今日一日が終わったような気さえしてきた。



DSCF2265.JPG
水晶もそうだったけど結構地味な山頂だな。






 
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新CM
最新記事
最新TB
プロフィール
HN:
としぷー
年齢:
46
性別:
男性
誕生日:
1977/09/23
職業:
さらりーまん
趣味:
登山 自転車 旅 鉄道
自己紹介:
登山、ロードバイク、一人旅が趣味の37歳。メタボの泥沼からなかなか脱出できないがそれは自分の意志の弱さだとようやく気がついた。最近は「食べるな動け!!」をモットーに脱メタボを目指す。
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
カウンター
忍者アナライズ
忍者ブログ [PR]
○photo by hanamaru.○