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2008年12月23日
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DSCF8922.JPGDSCF8929.JPG白出のコルまで上がりひとまず穂高山荘の外で待機。周囲はガスで真っ白だけど時折ガスが晴れて奥穂へと続く岩稜が見える。夏場ならばまだしもアイゼンを付けてあの岩場を登ろうと考えるほど身の程知らずではない。

DSCF8926.JPGみんな準備を整えると奥穂へ向けて出発していく。僕は涸沢岳なんだけどそちらへ向かう人はなかなか出てこない。しかし僕的には少々気持ちが萎えていた。涸沢岳がどうこうというよりも涸沢への下りのことを考えると非常に気が重い。ガスで周囲は真っ白なので涸沢岳に登ったとしても頂上からの景色はなーんにも見えないだろう。奥穂同様、こちらも夏場に登ったことはあるので自分的に未踏峰ではない。登れば登ったで達成感はあるかもしれんがそれ以上に涸沢への下りの不安の方が勝っていた。しかもスタートが遅かったうえにここまでの到達時間がコースタイム通りとなれば正直言って時間も押している。これから17時までに上高地まで降りなければならないのだ。
結局涸沢岳には登らず下山することにした。稜線DSCF8931.JPGから下りに突入する。実際下り始めると登ってる時に想像していたほどの斜度には感じない。しかしここで滑ると自分で止める自信はない・・・つーかこりゃ無理だ。どこまで落ちるのかわからないけどとにかくただでは済まないことは容易に想像できる。先行者の踏み跡を忠実にたどりながらへっぴり腰で下る。途中何人かに道を譲った。つーかこれまでいくつか雪山には登ったけどはっきり言ってピッケルワークやアイゼンワークを問われる山ではなかったことに今更気づいた。正直どこまで自分のアイゼンワークを信じていいのかわからないのでそれが怖い。途中2度ほどトラバース気味に横移動をするところがあったけどその時には「えーい、ままよ!!」と完全に開き直るしかしょうがない心境であった。
途中、横をシリセードで下ろうとしながらズルズルと滑落気味に落ちていく人を見てますます恐ろしくなり、さらに下りのトレースを大きく外しそれ以上降りれなくなった人がおっかなびっくりこちら側へトラバースしてる様子を見てさらに顔面蒼白になった。
DSCF8935.JPGDSCF8934.JPG



ミジンコみたいに見えた涸沢が米粒くらいに見えるようになり豆粒くらいに見えるようになるとようやく緊張感から解放された。そしてせっかくなので涸沢への最後の下りのところをシリセードで降りることにした。シリセードをやるのは4年ぶり。GWの富士山の8合目から滑り降りて以来だ。なかなかの急勾配だけど前に人もいないしこの斜面を下りきればさらに下に滑っていく心配はない。よっこらしょと腰を下ろすと表面がつるつるのレインパンツは勢いよく滑り始めた。しかーしこの急斜面に加え久々のシリセード、スピードをコントロールできずどんどん勢いを増していく。「うわ~!!」っと思ったが最後右手からピッケルがするりと抜けていった。「こりゃまずい!!」 くるりと体を反転させ滑りながらもピッケルバンドをたぐり寄せる。再びピッケルを手に取ると「うりゃー!!」と滑落停止姿勢にはいる。「ガリガリガリガリッ!!」手ごたえはあるが止められない。下を見ると雪面から木の枝がぶわっととび出ているのが見えた。「あそこはまずい!!」 見た目的になんだか痛そうだしジャケットもパンツも破れてしまいそうだ。体重移動で木の枝地獄をかわすも結局一番下まで滑ってしまった。こんなところだからよかったもののこれが登攀中のスリップでの滑落であったと思うとぞっとした。「今のって場所が悪けりゃ死んでたな・・・」
滑落停止体制って滑り始めが大切だという。スピードが上がる前に意地でも止めないとなかなか止めるのが難しいという。これは今回身を持って体験できた。とにかく転ばないように細心の注意を払わなければならない。それでも転んでしまえば全力で滑落停止体制をとりあとは天にすべてを任すまでだな。つーか来年はどこかで滑落停止訓練の講習を受けようかな。
結局テン場に戻ってきたのは11時半。無事に戻ってこれたのはよかったけどビビりながら下りてきたのでめちゃくちゃ時間がかかってしまった。
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テントの中にザックをデポしウェストポーチに必要なものを入れてスタート。穂高岳山荘の建つ白出のコルを目指す。ザックを背負っている軍団の中では完全に軽装に見えるけどとりあえず必要なものは持っている。無駄に重い荷物を持つ必要はないと思っている。ライトアンドファストだ。
DSCF8914.JPG15分ほど登り後ろを振り返る。涸沢のテント村がずいぶんと小さくなっている。スタートが遅くなった分を取り戻すべく登っていくも前が詰まって進めない。我慢できなくなった人が列を外れて脇を登って行こうとするけど一人ラッセルでこの行列を抜くのはなかなか体力を消耗する。結局は渋滞の先頭にたどり着く前に再び行列に戻っている。


DSCF8919.JPG僕は無駄な体力を使いたくないので我慢して列についていく。そして休憩で止まる団体のわきを休まず進み少しずつ前へと上がっていく。それでも前は詰まる。





DSCF8921.JPGそしてふと後ろを振り返る。「どわぁぁぁ~」。予想以上の高度感。涸沢のテントがミジンコのように見える。しかし恐ろしいほどのこの傾斜。なんかす~っと引っ張られそうになるこの感覚。ここで滑ったらただではすまん。その後もどんどん傾斜はきつくなる。久々にピッケルが大活躍する。雪はどんどん締まってきて先行者のアイゼンの跡がくっきり見えてくる。2,4,6,8、・・・みなさん12本爪ばかりだ。僕の前を行く人たちの爪を数えても12本。しかし僕のは10本。大丈夫か、これ??正直、この時期のこのエリアの山行を甘く見ていた。つーか、そこまで考えが及ばなかった。燕岳なら十分な装備でもここでは少々不安になる。再び後ろを振り返る。「うわぁ~」 めまいがするほどの高度感。しかもこの斜度。これを下ればならんのかと思うと大いにビビる。この気持ち、剣岳を登った時の感じと同じだ。登りながら下りのことを考えて気が重くなる。頂上に着いても下りのことが心配で心配でしょうがない。ぶっちゃけこれまで登った雪山の中では断トツにハイレベルだ。これまでここの斜面で滑落したやつとかおらんのかな。つーかそんなレベルのやつらはここにはやって来ないのか??
上に行くほどどんどん斜度が増してくる。時折強風が吹き耐風姿勢で耐え忍ぶ。余計なことは考えないようにしてるけどこの急斜度。登りは何とか登れても下れるんですか、ここ?ネットとかでは下りはシリセードとか言ってるけどこんなとこシリセードで下るのか??無理無理。こんな壁みたいな傾斜、滑ったが最後よう止まれんわい。ビビりビビり登るうちにコルの稜線まで上がった。山荘に到着したのは9時半。ほぼ空身なのでもっと早く登れるかと思ったけど渋滞もあって普通のルートタイム通りの時間がかかった。
朝5時。周りのテントから話し声が聞こえ始める。テントの外の様子をうかがう。ペグが抜け完全になくなってしまった前室のファスナーを開く。「うおっ!!」   なんとなくわかってはいたけどしっかりと雪が積もっている。その向こうに見えたのは水場の方向から歩いてくる人々の姿。風も強いし天気も悪いしみんなテントの中で待機してるのかと思ったら甘かった。みんなすでに始動している。僕的にはこりゃ登るどころじゃないななんて思ってたけどこの光景を目にしてスイッチが切り替わった。「よし、行くぞ!!」
周りを見るとみんなしっかり設営しているので僕のテントみたいに風で大きく変形しているテントはない。改めてペグで固定することと周囲を雪のブロックで囲うことの大事さを思い知った。
強風にゆがむテントの中でカレーを温める。今日もカレーだ。テントの中でバーナーを使うなといわれても状況によっては使わねばならん。まぁ、なんかあった時にメーカー側としては責任をとれと言われても困るからこういうことをアナウンスしてるんだろう。何事も自己責任ですな、山の上では。
DSCF8913.JPGテント内の荷物をまとめて6時半、約16時間ぶりにテントの外に出る。北穂方面はすでに続々と登り始めている。奥穂方面よりもその人数は多い。テントのペグを打ち直しテントを立て直す。トイレの行列に並び朝の生理現象を解消して登る準備はOKだ。すでに多くの人々が奥穂方面へと向かっている。その数は北穂方面よりも多い。そして7時半、涸沢岳に向け登攀を開始した。
夕飯にカレーを食べてとっとと寝る。昨日も一昨日もカレーを食った。キレンジャーといい勝負だぜ。
そして夜。事件は起こった。降っていた雨は雪へと変わり風がビュービュー吹き始めた。平たく言うと吹雪はじめたのである。北アではこの時期でも吹雪になるとは聞いてたけどこりゃ想像以上だ。フライには雪が・・・つーか氷が張りついたようになるので内側から叩き割る。そういうのを何度か繰り返すうちにさらに風が強くなってきた。気づくと寝てる横のテントの側面が目の前まで迫ってきている。「なにこれ?」と側面を押してみると「げっ!!」 薄い布の向こうには雪の感触が。テントを設営するときに適当にペグを打ったものだからどうやらフライのペグが抜けている模様。そこへ横殴りの雪がどんどん積もってテントの側面を押しているようだ。(うまく文字で説明できん)
そこからどんどん状況は悪くなる。どうやらテントを固定するペグもすべて抜けたようでテントが強風に翻弄される。ポールが折れるんではなかろうかというくらいテントがたわみテントの側面が僕の顔に覆いかぶさってくる。テントの前面の開くと前室のペグも抜け完全に前室が無くなっていた。ペグを打ち直そうにもこの状況では外に出られない。テントの片側は強風にあおられて浮き上がってくる。天気予報では0時から晴れマークになっていたからあと数時間耐えればこの吹雪も収まるだろうと思っていたけど、0時を超えてもこの吹雪は収まるどころかますます激しくなるばかり。風と雪に押されてテント内の居住空間がどんどん狭くなってくる。「いや~ペグをしっかり打たないとこうなっちゃうんだなぁ~」と身をもって体験できた。そして「みんなテントの周りに雪のブロック積んでたけどこういうことだったのねー!!」と体でもって理解した。その一方でシュラフの中はぬくぬくで非常に安心感に包まれていた。テントシューズを履きダウンジャケットの上から雨具を装着。テントはぐわんぐわん揺れてるけどひとまず凍え死ぬことはない。フライのペグが外れているのでテント本体もじわじわと湿っぽくなってきたけどシュラフはシュラフカバーで守られているので濡れることはない。しかしこの荒天。「こりゃ涸沢岳に登るとか言ってる場合じゃないぞ」
この天候ではテントを撤収することさえ困難だろう。テントの外に出た瞬間にテントごと風に飛ばされそうだ。どんどん思考がネガティブになる。
しかしこの吹雪の中、なんとか耐え忍んで無事に朝を迎えることができた。
雨降りなのでテントに戻る。時刻は14時過ぎ。しかし寝ようと思えば今からでも寝れる。テントの中でごろごろしているとテントを打つ雨音が時折乾いた音になる。あられかみぞれかはたまた雪か。気にはなるけどフライを裏返しにつけているのでベンチレーターから外が見えない。
時間はゆっくりと流れる。退屈といえば退屈だ。そこで今回初導入の秘密兵器の実験をすることにした。その秘密兵器とは「携帯用トイレ」。
テン泊してると結構めんどくさいのがトイレ。夜起きてトイレ行くのも面倒だし外が雨ならなおさら億劫になる。これまでの経験から今回は携帯トイレを導入することにした。正直今はまだ明るいし傘をさしていけばたいして濡れることもないとは思うけどせっかく持ってきたんだし使ってみたい。ということで使ってみた。テント内で大惨事を起こすことは絶対に避けなくてはならない。慎重にセッティング(?)してからいざ発射。ジョーっと袋の中に用を足す。100均で買った代物だけに信頼性には疑問があったけどなるほど、ブツがゼリー状に固まっていく。瞬間的に固まっていくのではなくじわりじわりと固まっていく。しかしこの携帯トイレ、この雪山の冷え切ったテントの中では妙な気分になってくる。中身がお小水とはわかっていても程よくひと肌的な温度でいい感じに温かい。まるでカイロのようだ。これがお小水の入った携帯トイレでなければ思わず懐に入れてしまいそうなのだがそこは「いかんいかん」と踏みとどまる。
あんまり多用すると持ってきたものを使い切ってしまうとまずいので2回目は結構我慢してから使ってみた。しかし1回目より量が多くしっかりと固まらない。口をチャックで閉めるのでこぼれる心配はないとは思うけど多少の不安は残る。
この携帯トイレ、便利といえば便利である。しかし実際使ってみてわかったことがある。おしっこって結構重いのである。なんつーかその、1つくらいならまだしも2個3個と使用するとずっしりとした重さになる。使用済みのものをトイレに捨てるわけにもいかんので下界まで担ぎ下ろさねばならない。感覚的にはウィダーインゼリーを自分で作り出してそれを背負うといった感覚。日が経つにつれ行動食で持ってきたウィダーインゼリーが無くなってきて背中が軽くなるはずなのに自分自身が生み出したウィダーインゼリーでその軽さが相殺される感じだ。というわけでこの携帯トイレを使うのはどうしてもって時に限る。むやみに使うと文字通りお荷物を増やすことになってしまうことを学んだ。
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男性
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1977/09/23
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さらりーまん
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登山 自転車 旅 鉄道
自己紹介:
登山、ロードバイク、一人旅が趣味の37歳。メタボの泥沼からなかなか脱出できないがそれは自分の意志の弱さだとようやく気がついた。最近は「食べるな動け!!」をモットーに脱メタボを目指す。
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